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タクシーとバスのなめらかな関係について

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NearMeの相乗りシャトルは、タクシーとバスの中間となる第三の選択肢としての交通手段を提供します。 タクシーはユーザーの利便性は高いですが、少人数しか運べないので配車効率は低く、料金は高いです。 一方、バスはその逆です。 今回は、相乗りシャトルで用いる主なパラメタについて説明し、一方の極限ではタクシーに、もう一方ではバスに還元できること、そして、それらを"なめらかに"繋げることができることを示したいと思います。

許容迂回係数

許容迂回係数は、単独の場合の乗車時間の何倍まで、相乗りによって迂回して乗車時間が伸びることを許せるかという値です。 例えば、東京駅→羽田空港の注文があり、単独で行く場合30分かかるとします。 ここで、許容迂回係数が1.5とすると、30分x1.5で45分まで迂回が許されます。 このとき、六本木→羽田空港の注文と相乗りすると、東京駅→六本木→羽田空港というルートになり、トータル40分かかるようになったとします。その場合、40分 < 45分なので、この相乗りは成立します。 次に、新宿→羽田空港の注文と相乗りすると、東京駅→新宿→羽田空港というルートになり、トータル50分かかるようになったとします。今度は、50分 > 45分なので、この相乗りは不成立になります。

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タクシーの場合は最短で着くので、許容迂回係数は1になります。 バスの場合は非常に遠回りすることもあり、迂回許容係数は大きな値になります。 相乗りシャトルでは、この値は、空港送迎、街中、通勤などのサービスタイプごとに異なります。 ユーザーがどの程度迂回を許容できるかと、車両をどこまで用意できるかのバランスによって調整され、 より"タクシー的な"使い方、より"バス的な"使い方、も可能です。

許容待ち時間

NearMeの相乗りシャトルでは、出発時刻指定か到着時刻指定かを選べるようになっています。 このとき、許容待ち時間というのが裏では設定されていて、最終的な出発/到着時刻は希望した時刻よりズレる可能性があります。 例えば、10:00時出発を希望した場合、許容待ち時間が20分だとすると、出発時刻は10:00 ~ 10:20の範囲の値になります。 11:00時到着を希望した場合、許容待ち時間が20分だとすると、到着時刻は10:40 ~ 11:00の間の範囲の値になります。

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相乗りがなければ、出発時刻または到着時刻は、指定した時刻通りになります。 相乗りが発生すると、お互いの時間制約を守れるように、指定した時刻からズレることがあります。 このズレをどこまで許容できるかが、許容待ち時間になり、この時間を増やすほどマッチ率は高まりまが、 ユーザーには不便をかけることになります。

ここで、タクシーの場合は、相乗りが発生しないので許容待ち時間は0になります。 バスの場合のそれは、前のバスと次のバスの運行間隔であり、この値は大きな値になります。 相乗りシャトルでは、この値もサービスタイプごとに調整されます。実際、NearMeの相乗りシャトルでは、街中利用では短く、空港送迎のような長距離では長くしています。 また、人によってはとりあえず午前中につければいいなど、個別のユーザーごとに変更することも可能です。 さらに、時間帯によっても変えることもできます。

最大乗車人数

配車の効率性に影響するもう一つのパラメタは、各車両の最大乗車人数です。 タクシーの場合は3人程度、バスだと数十人乗れたりします。 相乗りシャトルの場合は、一般には、6~9人乗りが多いです。

なお、相乗りでは、下図のように乗車と降車が入り混じるので、乗車する人全体ではなく、流れの中で最大になる人数に対しての制約になります。 f:id:nearme-jp:20210702011139p:plain

ユーザーの利便性という意味では、タクシーのような少ない乗車人数の方が快適ですが、 配車の効率性を考えるとなるべく多く乗せられた方がいいです。

他方、バスの場合は、数十人乗りなのに数人しか乗ってない、みたいなこともあり、それもまた非効率です。 適切なサイズの車両を選択できれば、より効率化できます。 実際、NearMeの相乗りシャトルでは、後から適切なサイズの車両を割り当てたり、サービスタイプによっては、最大乗車人数を大きくして、ミニバスのようなもう少し大きめの車両を利用することもあります。

乗車位置の補正距離

乗車位置はタクシーの場合は任意で、バスの場合は固定されています。 相乗りシャトルでは、乗車位置は基本的には任意です。 ただし、他に乗車する人もいて、よりスムーズな乗車が求められるので、 車両が停めやすい場所まで少し歩いてもらったり、 近くの人達を一緒に乗車させたりするといった乗車位置の補正をする場合があります。 しかしながらこの補正は、バスの時ほどには求められません。

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おわりに

許容迂回係数、許容待ち時間、最大乗車人数、 乗車位置の補正距離という、相乗りシャトルの主要なパラメタについて説明しました。 そして、それぞれ配車効率とユーザーの利便性においてトレードオフがあり、連続的に調整できるものであることを示しました。 このとき、配車のサービスタイプなどに応じてパラメタを柔軟に調整でき、その極限においてタクシーとバスがあること示しました。 このような柔軟性により、ユーザーのニーズに合わせたより幅広い選択肢を提供できるようになると期待できます。

最後になりますが、NearMeではエンジニアを募集しています!まだまだ多くの可能性が潜んでいる領域です。興味を持った方はぜひ以下から応募いただければと思います。

Author: Kenji Hosoda

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